わたしのあしながおじさん?




外堀を埋められる前に婚活してみようと思ッたのだけれどどうでしょうか?




沢田綱吉は、今日も頭を痛めていた。
頭が痛いなどと声に出せば、病院に連行されたり、山ほどの薬を処方されるのであえて黙っているが今日も頭が痛い。





「獄寺君、そろそろお茶にしようか?」
「はい、それじゃあ用意させます」
「うん。そうそう、お茶受け、あれ戴こうよ?風紀財団の草壁さんが持ってきてくれたやつ、前の羊羹美味しかったですって話したらまた持ってきてくれたでしょ?何時も気使ってもらって悪いよね―」

ちらりと時計に視線をやると、早めの昼食をとった時間から随分と経ってしまっていた。休憩するには良い頃合いであった。
受話器を置いたばかりの嵐の守護者に提案する。
早朝から詰めていたお陰で仕事は随分とはかどっている、今のところ前倒しで進んでいるのでスケジュールにも余裕があった。
お茶の時間くらいとっても良いだろう。

取引先としては上得意先である地下組織の副首領の名を出すと、獄寺は幾分か顔をしかめたものの頷いて部屋を出いく。
その姿に、今日のお茶受けに何か用意していたんだろう事を察したが、言わない方がいいだろうと苦笑を零すと後ろ姿を見送った。
ぐっと伸びをすると、凝り固まっていた筋肉が少し解ける気がして気持ちがいい。最近、デスクワークばかりでいけない。身体が動かしたかったけれど、それを言うのも憚られる。
確かに取引先との会食よりも気楽ではあったが、好きな仕事では勿論ない。
そして、広いデスクへと視線を戻して数秒。

更に増した疲れ。
急に痛みだした頭……こめかみを揉むようにして、それ………新着メールを知らせる端末の点滅に、溜息をついた。



彼の名は、沢田綱吉と言う。
既に20を少し過ぎたと言うのに、周りと比べるならばあまり伸びなかった身長(日本人の平均ならこれで十分だと彼は言う)体躯も痩身で、更に甘い雰囲気を纏い、ともすれば……この国おいては頻繁にティーンと……いや、顔立ちが甘いだけに時には少女とも間違われる事あるれっきとした青年。
彼は、今より4年と半年ほど前にボンゴレ10代目を襲名して以降、その名で呼ばれる事はあまりないし、親しいもの以外にも許さないので名を知っている者は組織内では少ない。
己のルーツ、バックボーンを大っぴらにして良い事がある職でも無い。
マフィアなのだ。
そう、イタリア最大にして最強であるボンゴレファミリーのボスなのである。
こんな自分を、ボスになど祭り上げる所まで落ちたのかヨーロッパ最大派閥は、と溜息をつくのは本人ばかりで、ボンゴレ10代目の名は内外に轟く。
穏健派として知られる先代の後を政策共に引き継いだ、まだまだ若い青年で在るけれども甘やかな見た目を侮って、舐めて掛っては痛い目を見る。
そもそも、次期と目されていた暗殺部隊ヴァリアーのボスを差し置いて突然に公式発表された10代であった。
ヴァリアーのボスは頭も切れるが、温厚な父とは似ても似つかぬと噂だ。
突然降ってわいた話に、そうそう納得するものでは無いだろう。これはボンゴレが揺れる、とボンゴレの隙を伺っていた外部や、混乱の隙に少しでも自分に利をと企んでいた者たちの目論見をあっさりと砕いて見せた。
何よりも、驚かせたのが10代が契約を交わした守護者だ。
ボンゴレの伝統。
ボスの全幅の信頼を受けた6人は、ボンゴレの秘宝を預けられ、そのリングを、ボンゴレを、ボスを守護するという任を与えられる。
別に常駐している必要はない、名誉職に近い。ただ、ボスが信用するに足ると認められた組織、いや世界屈指の6人。
組織内にあっては大変な栄誉である。
しかし、そんなものに何の興味も示さない人間だっている。
今、彼の雲の守護者という立場に収まっている男がその最たる者であった。
先代が懇意にしていたという男で、また代替わりする数年前から先代の雲でもあったと言う。
何時までも埋まらない雲の守護者の椅子に、先代が押してきた人物である。
誰か自分の息のかかった人間をと、画策していた重鎮はそれで意気消沈……と実はいかなかった。
その、人と成りを重々理解していたからだ、あの男に諾と言わせたのも、先代のあの老獪な手練手管であって、彼の仲介があったと言えども、まさかあの男――雲雀恭弥がまだまだひよっこの、10代になどどんな条件をつけても、付くはずもないとたかをくくっていたのだ。
ほら、現に就任式にも顔を出さない。
まかりなりにも、先代の雲でありながら。
次はどの手で攻めようか、算段を腹の中でひたすら繰り返すばかりの連中は気づかない。
守護者不在の折り。ボンゴレリングが安置されるべき台座。
そこには、一つのリングすら残されていない事に。


好好爺然とした先代は語る。
周りが騒ぐほど悪くないよ?ただちょっと彼らは、取り巻き付け過ぎるだけなんだよ。
腕はたつし、頭もいい、顔は………お爺ちゃんは何も言いたくない(何故視線を逸らすのかその辺りを問い詰めたい)、できない事…したくない事ともいう――。は絶対に諾とは言わないけれど、受けた仕事は文句のつけどころも無く完璧に遂行、ビジネスパートナーとしては申し分ない、一度気に入られれば此方が裏切らない限り裏切りもしない。
裏切り云々はそもそも、気に入らないなら、そんなこそこそした事をせずに率先して殴り込んでくる―――と。
だいたい、仕事受けてくれるどころか会う事も難しいい相手だから。そんな事考えるのは、コンタクト取れてからでいいい。
持っていく話殆んど、NOの人間がYESをくれるってだけで気に入られてると思っていいんだよ?
分かりにくいのか、分かりやすいのか……。
スカウトした時もね、中堅の香港マフィアが壊滅寸前までボコボコにされててね、ちょっと放っておくのが不憫で声掛けたんだけど、良い拾い物だったよ?
ああ、勿論ボコボコにされてるメタボなおじさんたちの方だよ?うちとの取引、そこそこいい条件だから、まだポクって逝って貰っちゃ困ったし。
それから少し付合いができてね、たまにイタリアに来ると顔出してくれて、誰彼かまわず殴り合ったり…しかも日に日に強くなっちゃってもう大変!
ポーカーだの麻雀だの花札でザンザスとかスクアーロなんかカモにして小遣い稼いで帰って行くんだよ。
それで、いつの間にかビックリするような地下組織なんて作ってるんだからもうほんと大変。
ちょっと手が出るのは早いけど、いいよね?


なにが、いい?

ニコニコと人好きのする微笑みと共に語る話は、いったいどっちが、いや誰が悪いのか分からない話ではあるけれどもとりあえず、自分の守護者なんぞをやってくれるという人の人物像がおぼろげに見えてきた。
見えるほどではないけれども、第三の目が開いた感じだ。
先代の事はもう偉大すぎて後光が射していて見えない。
それより彼の事である。


うん。
あんまりお近づきになったらだめな人だ!!

基本的には危うきに近づきたくない、平和主義という名の小心者であるマフィアのボス。
印象から導き出される人物像に見切りをつけるのは、早かった。


海千山千のじじさまのご推薦のご友人は人格的に碌でもないツルッ禿げだ!!

沢田綱吉は、未だに自らの守護者である雲雀氏との面識がないのだ。
連絡は全て彼の部下である草壁という男(彼はかなりキレ者だが、まだ若い)を経由している。メールは本人が打っているかもしれないけれども、一度として会った事はない。
そもそも、人嫌いと一言に言うには語弊があるほどに他者との輪に入る事を嫌う人物らしい。組織の会合やパーティーの類にも、先代の頃から顔を出す事はほとんどなかったのだとか。
古参の古狸たちに言わせると、悪魔だとか破壊神だとか魑魅魍魎だとかボンゴレの異次元人外魔境、ボスを盾にしても逃げろ(それはどうなんだ?)、雲雀に会うときは遺書と墓穴を用意しておけと、碌でもない単語が出てくる出てくる止まらない。とりあえず、まともな人間では無いといいたいようである。
あの9代目はいったい何を気にいったのか?謎だ。
そして、何を考えているのかも分からない。先代が何かの条件を出したのだろうと綱吉本人も憶測していたのだが、どうもそうではないらしい。受けてもいいと、申し出があったのはあちらからだと言うから驚きだ。
その際に、一つ何か約したことがあるようだが、かの老人が言うには何の不利益もない、むしろこちらにとっても好条件な話だったとか。
いずれ会う事になるだろうから、その話の最終決定は綱吉に委ねると言われている。まったく、長期計画もいいところである。

たしかに、それで何か不都合があるわけでもないので、問題は起こってはいなかった。
ただ、妄想がふくらむだけである。


(先代のお友達、+、きっと結構なおじさんてゆーか爺だろう、+、「顔は…」続く言葉はいったいなんだ?、+、ヒトデナシ、-、碌でなし)× 自分にとっては悪くないが会いたくはない戦闘狂/金持ちな化け物 = 煮ても焼いても食えないツルっ禿げ

数式に当てはめるとこうだ。
導き出した考察を、霧の守護者である男に語ってみたところ妹のように可愛がる少女の為に取り分けていたケーキを盛大にテーブルの上に落とした上で、その後その意見を褒め称えた。
その後、大爆笑の末、当事者を憐れんで目元を抑えていたが。この男に憐れまれるのか、と思うと話した相手がまずかったと反省した。
彼は唯一綱吉の守護者たちの中で、雲の守護者との面識がある。
向うにどう思われているかは知らないが、この霧の守護者は彼の事を随分と気に入っているらしくウキウキと日本に行っていた。
その後、満身創痍で帰ってくるのだが―――。
その事から考えても、妥当だと思えるイメージだ。


―――――――雲雀恭弥は遠きにありて思ふもの


昔の人はよくいったものである。
その自分の雲の守護者からのメールも頭が痛い。
財団とは隷属関係どころか、上下関係も無い。常にフィフティ、対等であるので向うからの要求もボンゴレが依頼した分こちらに回してくる。
それができる事とできない事のギリギリの線であるので厄介だ。お断りすれば角が立つ、案外スパルタにしごかれているのかと思えばありがたいが、如何せん鬼すぎる。
そして、要求のレベルを徐々に上げてきている。明らかに綱吉を測っているのだ。
確かに頭を悩ませてはくれるが、定期試験だと思えなくもない。
事実、綱吉の限界の線をかなり的確に見極めた依頼を寄こす。


頭痛の種のひとつめ。
そして、ふたつめ。

各種食事またはお茶の御誘いである。
食事とお茶に付属して、器量よしのお嬢さんが必ずそれも最近輪を掛けて血走った目で見てくる……。
多種多様なタイプのお嬢さんたちには申し訳ないが、もう少しまともな縁談でさっさとお嫁に行く方がいいと思う。
ボンゴレボス、未だ独身。
更には、遊んでいるという噂すら流れないものだから皆必死なのだ。

ふたつ目の方が綱吉をうんざりさせる。
今度はどんな理由で断るか・・・・・・いずれ正式なカードが届くであろう誕生日パーティーのお誘い名目のものには何を送れば無難か―――まあ、それは……。

「君に任せた!!」
「はい、お任せください十代目!!」

いいタイミングでお茶と菓子をもって現れた獄寺はとても良い御返事を返してきた。
こういった事は彼の姉辺りに意見を聞くのが一番いい。
物にしても、花にしても当たり障りがないもの、言葉を変えるなら後腐れが無いものを選んでくれる。

「また、ですか?」

お茶の注がれた湯呑を受け取って息を吐いた綱吉に遠慮がちに問いかける。
ボンゴレボスとなってもうすぐ5年。こちらもそろそろ色々と慣れた頃で、向こうも此方の品定めも大方ついて頃合いなのだろう。
就任当時と違って、かなり本気だ。
当然、まだ若くそして将来有望な守護者たちにもその手の話は掃いて捨てるほど来ているようだが、身持ちの堅い10代を盾に最終的に断っている事を綱吉は知っている。
別にそんな事を責めるつもりは無いし、使えるものは使えばいいと思うのだが後ろめたいものがあるようだ。
結局、また綱吉に還ってくる話であるのは致し方ない。
お仕事、お互いの利害の為に割り切ったお付き合いを、という聡明な女性方とは良いお付き合いはしているが、床にまでその良いお付き合いが及んでいるかと言われればそうではない。
そちらには、完全な実力主義思想だと受けがいいがそれだけではないのが現実だ。
枕営業完全お断りなのは既に周知の事実なのであるが、マメといえばマメだ。
本気の縁談よりも質が悪い。

別に、綱吉とて興味が無いわけではない。
けれども、ビジネスライクも所謂身体だけの関係も何ともピンとこないのが現実なのである。
未だに10代のような幻想じみた恋愛思想かと、家庭教師は笑うがいくら家庭教師とはいえ性癖にまで興味はないようで、遊べとは言わない。
ただ、「相手は十分選べ」と何とも含みのある笑い方をするだけだ。


「結局、さ。特定の相手作るのが一番なんだろうけど……」
「はあ…条件が、厳しいかと思います」

美醜だとか頭の回転だとかの前に、綱吉の相手となった時点で常に危険が伴う。生命の危険にさらされる日々が漏れなく付いてくる。
邪魔ものは消してしまえが当然の世界である。
それらを相手にできて、かつ余計なしがらみを持っていない相手。
そして、何より綱吉を好きになってくれて、綱吉も誰よりも何よりも愛せる相手―――

「たった一人を探すのって大変だよね」
「そう、です・・・ね」

答える獄寺の目が泳いでいるが、見ない振りをしてやる。
運命の相手か。
言ってしまうと夢があるのだが、分母が天文学的な数字である。条件として、だ。

お互いの感情云々は、最悪ビジネスパートナーでもいい。
勿論付いてくるに越したことはないのだけれど。
硝子の靴のシンデレラがいたとして、見つけ出すのは容易いだろうけれども、シンデレラがか弱いお姫様であったならあっさり海の泡になってしまうのである。

ん?童話が違うが、良いだろう。



「そういえば、………」
「ん?」

ふう―――と長く、また息を吐いた綱吉を見かねた獄寺が、アッと思いついたような声を出してしまった、と口を押さえる。
微かに首を傾げた後、綱吉もああと頷く。
手に持った茶を含んで、口の中に羊羹を放り込むと上品な甘さが口いっぱいに広がった。
甘いものは偉大である、厄介な悩みを何でもない事のように忘れさせてくれるのだから。
ゆっくりと租借して、飲み込んだ後バツの悪そうにしている獄寺に苦笑を滲ませた。

「骸の『おススメ』さんだろう?あれ、なんか駄目になったみたいだよ」

空になった湯呑に御代わりのお茶を注ぎながら、目を丸くさせている相手に続けた。
「そうなんですか?」と更に驚きを見せる獄寺に、そこまでは言いふらしてなかったのかとあの植物頭の霧の守護者を想い浮かべた。



「日々鬱陶しい縁談に悩む綱吉君に僕のオススメをご紹介しましょうか!」

事ある毎におめでたい天晴な頭をした守護者は綱吉に持ちかけてきた。
あの男は一体どこの世話焼きおばさんなのだろうかと思う。
御近所か、親戚筋を辿ってゆくとだいたい一人くらいはいる余計なお世話が大好きなおばさんのノリであった。
うちのクロームに人身御供なんて話になったら困りますし、僕も念願の仲人ができて一石二鳥三鳥いいことずくめです!
仲人なんてものは既婚者がやるものなのだが、この男は知っているのか?
彼は言う。


「で顔は?美人なの、可愛いの?」
「あなた意外に面食いですもんね、知ってますよ。美人です、流石の僕もビビったくらいの美人です、綱吉君なんて一撃です」
「あんまりか弱いお嬢さんは…かといってマッチョも…」
「流石、我儘ですねボンゴレ!お嬢さん・・・・・て訳じゃないですけど、か弱くないですよ。しなやかで綺麗な痩身のラインが詐欺なくらいに腕が経ちます」
「お嬢さんじゃない?年上なの??あんまり上は……ああ、でも下手にどっかに繋がりあるのもちょっと」
「君より一つか二つ年上ですよ。確かに組織的なバックが無いわけではないんですが、君にマイナス……君が気にする此方側の均衡云々に触れるようなしがらみは持ってないです」
「それに・・・」
「いえいえ、皆まで言わないでください。頭もいいですし、動物には好かれますし、小動物はもれなく無条件で可愛がる心の持ち主です(霊長類の長には欠片も向けられませんけど)」
「なに、その後ろにくっついてるカッコ書き・・・・」

セールスでもさせたらがっぽり儲けてきそうな男の下はよく回った。
だがしかし完璧物件ほど、隠れているマイナス要素はデカイものだ。
何しろ、プラスをマイナスに変えるほどの何かを持っていると言う事なのである。

「誰からも文句の来ない、とってもお買い得かつ完璧さんな僕のオススメです!」
「なんでそんな高物件が売れ残ってるの?」
「ああ、向こうも君に負けず劣らずのモテ期ですよ?本人の意思です。いいじゃないですか、高物件どうしで」
「だから本人の意思・・・・・俺はともかく向うはどうなんだよ」
「君の事、気に入ってますよ」
「何故解る」
「えーそりゃあ。くふふふ」

気持ち悪い笑いで曖昧に流すばかり。
だかしかし、最大の難がある。

「じゃあなぜ、連れて来ない…」

必死にプッシュする割に、必死になって会わせようとしない辺りが怪しい。
絵に描いた餅、水面に映った月、お得意の幻覚か?幻術だった場合、見破る自信は多大にあるのでいいけれど。
何しろ、「僕のお友達を紹介します!」と、この男の『お友達』とう時点で怪しい。
かなりの変わりものか変人か変態の可能性が高い。
自分はお友達というか、上司というか取引相手なのでこの枠には入らない。クロームだって、まあ一応犬や千種も間違ってもこの男のお友達ではない。
彼の家庭教師かと、ちらりと思ったものの、即座に否定した。
綱吉がどうなろうと構わないだろうが、こんな大っぴらに自分で煽ってまさか自分も無事で済むとは思っていまい。
この男だって自分が可愛いに決まっている。
綱吉はやつあたりに盛大に虐待されるだろうが、骸本人も手痛い嫌がらせが来るにきまっている。
それに、この話はあのヒットマンがいた時もしていた。その時あの男は確かに訳知り顔の微妙な表情をしていたが、間違っても相手が自分だなどとそんな顔ではなかった。


確かに、あのヒットマンクラスでなくてはならない高望である自覚はあるのだが。



半眼の綱吉の問いに男は、ぎくりと目を泳がせる。
そら見た事か。

「ええ、メール入れてるんですけど・・・・・・・・いつも、帰ってきてしまって」
「・・・・・・・・・おい?」
「電話はいつも・・・・・・・・・・・話中で」
「ああ」
「訪ねていっても、大抵留守か居留守で―――――」
「それって、友達っていうの?・・・ああ、もう泣くなよ!!」


実はホントに高物件なんじゃないのか?と思う段階に至って、目の前の男が退場するので話は何時も進まない。
そうこうしているうちに、あちらに何かあったらしく悲愴な顔の六道氏が綱吉のもとにやってきた。
先代のもとに暫く護衛として付けていた時だ。
話し相手としてお茶をすすっている時にそういう話になったらしい。嬉々として『ボンゴレ(10代)ハッピーウエディング計画!』と話の分かる長老に提案したところ、非常に申し訳のない顔をされたという。
勝率8割くらいで仲間に引き込みたかった、というよりもむしろ旗印にしたかったらしいが思わぬ負けを見た。
2割の確率で反対されると思ってはいたが、まさか「もう売約済み・・・・というかね、今本命に一生懸命?」などと意外に若い喋り方をされるとはまさか思いも寄らない。
「まさか、そんなに手が早いとは思いませんでした!!その割にじっくり攻める戦法なんて!!」
友達なんじゃなかったの?とは聞かない。

電話もメールも繋がらないのだし――。



 



「そんな感じに、高物件は売れてしまったみたいだよ?」
「そうですか、と。十代目、どちらに?」
「本日の営業は終了」

コトリと湯呑を置いて、羊羹も最後の人口を口に放りこんだ後綱吉は席を立った。
獄寺が茶を入れている間に、残りの書類にも目を通してしまった。

「少し休むよ。君ももう上がっていいからね?お疲れ様」
「はい。ごゆっくりお休みになってください」



ひらひらと手を振って部屋を後にする。


「でも、休むっていっても、ねえ?」


廊下の、窓が映す空を見上げる。
まだまだ外は明るかった――――――。
自室へは戻る。

戻るが・・・・・。






そんな訳で、綱吉は今街に居る。

ボンゴレ秋の婚活コレクション2009。
沢田綱吉、お嫁さんを募集します!!!
――――――お嫁さんに、なる。
がオチですけれど(ネタバレどうこう言う前のサイトの指針なのであります故)
大丈夫、もう皆さまに読まれてます!




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