overture
「ところで、ボンゴレ。僕、小さな子供を拾ってきたんです」
ボンゴレ10代目の守護者の多くが故郷とする国へ、ある案件で出張させていた霧の守護者。
報告を受けていた綱吉はそれまで読んでいた書類から顔を上げた。
執務室には2人以外だれもおらず、そろそろ午後の日差しが一番強い時間が終わろうとしている。
若干の違和感は感じるものの、骸がいるのだし何かあっても押し付ければいい。
キリがついたらお茶にでもしようか、と思った矢先だった。
なんだろうか?
何かとんでもない事を聞いた気がするのだが、気のせいか?
「犬?猫?それともパイナップルの苗?」
「ボンゴレ…前半2つは目を瞑りましょう。最後のそれはなんですか?僕をなんだと思ってんですか?違いますよ、人間の女の子です」
「あ?」
聞き返す言葉がそれ以上にあるだろうか?
とりあえず、もう一度同じ言葉を言ってみろ。
それが返せる言葉の精一杯。
淡々と仕事内容と、別件で頼んでいた調査と、どこのどいつから頼まれた土産を買うのに1時間並んだだの
くだらない話も交えて報告を聞く。
お前ほんとはマメな奴だよな…なんて適当流していたのだ。
冒頭の「ところで」で話が転換しているが、なにがどうなってそんなぶっ飛んだ言葉が出るのか。
しかも、この男六道骸からだ。
この世の犯罪はとりあえず大多数手を染めました、なんて平然と言われても納得できる、本人曰く六道輪廻をまわってきたこの男。
万引きとか、無銭飲食とか、強盗、とか贈賄辺りと同じくらい縁の無さそーな、誘拐?
いや、まさか!
「だから、向こうで子供を拾ってきました。運命の出会いというやつでして」
「おまえ……おまえでも、ヘマするんだな。往生際悪いからさ、ちゃんと責任とろうよ。ってか出来るんだな、デキたんだな…なんか、しみじみしちゃう」
「ボンゴレ………貴方の口からその手の話が出るとは驚きですよ。時というのは偉大ですねぇ」
「うん。観念して、役所行きな?」
「だから、ちゃんと話を理解しましょうよ。僕とは縁もゆかりも無い子ですよ」
この男の口から運命なんて言葉が出ることは驚きだが、しかし今はそんな突っ込みをしている時ではないとおもう。
「おまえさ、疲れてるの?」
いや、疲れてきたのは自分だ。
「そりゃ、遠路遥々出張してきたんですよ?多少の疲れもあるでしょう、僕だって人間ですからね。
まあそんな訳ですから、大勢の部下の目が四六時中あるところには置いて置けないでしょう?
一応マフィアのボスの屋敷ですし。ですから、離れのプライベートゾーンに入れるの許してくださいね?」
「ちょっと、待て!……1から説明しろ、いや0から100までだ!!」
平然と嘘吐いてんじゃないよなんて思うところが、言葉の端々にあったがやはり、ここも今回はスルーした。
なんの悪戯か、冗談か、と当初思っていたがどうにも本気らしい骸に、そろそろ綱吉も焦れてきた。
許してくださいね?
なんてお伺いじゃない一応の確認を取っているだけにすぎない。
―――コンコンコン
どうにも不毛な会話を繰り広げているところに、扉が鳴った。
事の収集に一役買ってくれそうな人間なんて、そもそも周りにいないのでこれ以上事態を広げない人間であってほしいな、なんて正直思った。
流血沙汰のカオスは……いい加減にして欲しい。
「入るよ、綱よ…し…―――」
「やあ、我が心の友。恭弥くん!」
「………え、と。どうか、しました?」
入ってきたのは雲雀恭弥。
ボンゴファミリー10代目ボス、綱吉の雲の守護者。
二人の友情どうこうの本当のところは知らないが、この霧の守護者との出会い頭、何かしらのリアクションがあってしかるのに今日はどうした事だろう?
骸の顔を見た瞬間、目を眇めたがそれより遅れて、その男の足元に目を遣り、その男の顔を見、そして綱吉を見やり―――。
「……まさかね」
何が?
腕を組んんで、真顔でのたまう。
視線が作る歪な三角形は今もしきりに辺を結んでいる。
「当たり前じゃないですか!君たちの仲をこれほど応援している僕が、そんな卑劣な事をするとでも!?」
「………」
「あれ?なんでそこで、へッで、ペッなんてキャラにない笑い方するんです?恭弥君………」
「ちょっと、二人と………も…?」
漸く席を離れて、駆け寄った綱吉も骸の足元に目を見開いた。
「むく…ろ?」
「だから言ってるでしょう?」
「で、何を言ってたの?」
骸の裾の長い上着に隠れて見えなかった。
小さな女の子。
骸の腰ほどにもない身長の子供。
3人の大人に囲まれるかたちで、所在なさそうにしている。
「お前!連れてきてるんなら始めにいってくれよ!!」
「ふむ。ボンゴレ、何時もいつでも気をつけなくてはいけませんよ?例え、子供といえど、守護者としてとっても僕は心配です」
「大丈夫だよ。君の首狙ってる守護者なんてすぐに僕が始末しておいてあげるから」
「だから、恭弥さ・・・・・ん?」
振り向いたところに雲雀の顔は無く、そのまま視線を下ろす。
屈みこんで無表情に、内ポケットから取り出したキャンディーを少女に渡している雲雀がいる。
因みに、綱吉のご機嫌取り用のミルクキャンディーだ。
この人も良く分からない、人間とか群れとか基本的にあんた嫌いだろう!!?
それなのに、小動物には優しかったりする。人間の子供には・・・・初めての気がするが。
その子は小動物認定されたんですか?
何かの電波で分かり合ったんですか?
誰か、この混沌をどうにかしてくれ。
「醜い大人の言い争いは教育上良くないよ」
教育なんてどの口で……。
「クフフフ。わかりました、さあクローム、その黒い人がおかーさん、世話しなく突っ込みを入れている人がおとーさんですよ?」
「……………」
言葉も無い
縋るように視線を向けた相手は
「君に付く虫が減るなら別にいいよ。何?お母さんの方がいいの?」
遊びの一環か何かだとでも思ってるんですか?
もう少し真剣に物事を捉えてください、雲の人。
大きく息をついた。
視線を落とすと子供がびくりと肩を揺らすのが見えた。
―――嗚呼、失敗したな。
「ごめんね」
屈んで、視線を合わせて。
頭を撫でた。
手を出した瞬間、それまであまり脅えを見せなかった……たぶん、この辺りが雲雀が気に掛けるに得る小動物の条件だったろう、珍しい。と思う……子供が身を引いた。
それで、なんとなく。
この子の背景が解りもしたが、今さら手を引くわけにもいかず、出来うる限り優しく頭を撫でた。
覗き込んだ目は隻眼で、眼帯をしている片目が痛々しい。
そして、なんとなく彼女から感じる骸の力の残滓。溶け込むように、酷く骸と似通った気配。
訳有の子供。
そりゃ、骸が連れて来たのだそうだろう。施設に預けておわり、とはいかないのだろう。
それだけは解った。
「俺は綱吉だよ。君の名前は?それから、甘いミルクティーは好きかな?」
頭上から、雲と霧の視線を感じた。後の事はこれから考えよう。
果物頭を〆て事情を聞きだすのも後にしよう―――――――――
とりあえず
こんにちは。
ようこそボンゴレへ。
お遊びです。みんなでちっちゃい凪を愛でたらいいんじゃないの?
見たいなノリ。ノリだけ
雲の人が無理がありすぎますが。電波な感じに分かり合ったんだと思います。
綱吉に手を出さない限りとりあえず優しいと思います。(何処に流れ着きたいのか分からないのでなんともいえません)
取って付けたヒバツナと説明書いてるので、いいか。いいよね(よくない)