「―――だが駄目ツナ……」
「なんだよ、お前まだいたの?」
自分専用の急須と魔法瓶仕様のポットを片手に、何かに目覚めたリボーンを無視して茶葉とお湯の補給に空ける事10分。
日本から取り寄せた軟水を沸かして、適当な温度にまで冷ましてから魔法瓶に詰めて、急須にもお湯を注いでから……因みに見事な白湯になる4煎くらいまで飲む。
貧乏性なので……。
執務室に戻った綱吉をリボーンはまだ待っていた。
常識的に考えて、貰ってもどうしようもない百万本の薔薇でも買いに行くと思っていたけれども違うようだ。
因みに綱吉はといえば、以前雲雀が六道骸に唆されて贈ってきた百万本の薔薇は精油にし、風呂に浮かべ、ベッドに敷き……いろいろと有意義に使った。
暇人はいいよな、なんて最近強気に出れるのだけれども。
できればこんな先生の姿など見たくは無かった。
兄弟子であるキャッバローネのボスや親友たち二人の前では彼はまだ、敬愛と畏怖をその背に受ける伝説の家庭教師であるのが哀しいのか、喜ばしいのか綱吉は未だ答えが出せていない。
彼の恋がどうにかなる頃にはその答えも出てたらいいよね、なんて思う。
うん。展望は無いけれども。
玉砕するにしても、核爆発するにしても、春が来るにしても。
デスクに戻り、急須に先ほど調達してきたお湯を注ぎ、口寂しいので引き出しの中をあれこれとあさりながら思う事は詰らない事だ。
やっぱり別にどうでもいいけど―――。
「ある事に気付いた。聞きたいか」
「そんなことある訳ないよね?」
「お前が俺に色目使ったって雲雀にちくるぞ!」
「大丈夫だよ、あの人もうお前の言葉9割方信じないから」
「あのな……」
「お前もう…ほんとどうしょうもないな!」
ふう、と聞こえたのは綱吉のものではなくリボーンの溜息であるのでもう始末に負えない。
ここで自分が犠牲になれば、他の皆の心の平安は保たれるのだろうか。
身代わりの子羊。
哀しい人身御供ではあるけれども、まったく心がうつくしい自己犠牲の精神フィルターを張ってくれないので困る。
「俺は一つの可能性に気が付いた。これが・・・・そう、コレがツンデレというやつか?」
「………先生辿りついたねぇ」
「だろう?」
「うん、ほんとに」
堕ちるとこまで―――。
ツンデレとはアレだ。
その昔、スリッパ片手に応接室で運命の出会いをした中学時代、どんな時も何があっても、顔を見たら、頬を染めながらポコポコ殴ってきたのに、最近はといえば会えばベッタリ会えないと、いい加減引退して嫁に来いと言いまくる電話にメールにせわしないうちの雲雀恭弥さんですか?(ああ、ほんとに早くこんな職辞めちまいたい)
もしくは
『恭弥さんなんて、もう知りません!もう、き、嫌いです!ほんとの、ほんとなんですからね!!』とか言って、逃げておきながら物陰からこっそり見てたりして、微笑ましげに見つめられる俺ですか?
………どっちにしても、客観的にはめんどくさいな。
今度は、できるだけ人のいないところでやる事にしよう。
もう、いい歳になったので他の人には極力ご迷惑をおかけしないようにしようと、ここ最近二人で話し合いもしたので。
「リボーン、お前は今でも時々俺たちに大切な事を教えてくれるよね……」
「ん?なんだ、どうした?」
「いや、いいよ。俺たちはもう先生の背中しか見ないから。どうぞ、続きやって?」
「お…おお。そうだな、ここはひとつ意趣返しに、放置プレイでもいいかと思ってたところだ」
「そっか………」
今まさに自分がそのプレイの渦中にあるとは思ってもみない、か……。
どっちにしても、風さんは愉しいと思うよ?
音沙汰なくなって、勝手にフェードアウト。
――――それこそ、彼の望む平穏生活だったらどうすんの?
言えやしませんけどね。
まだまだオチない