七夕について本気出して考えてみたらこんな事になった
RRRR… RRRR… RRRR…
『はい。もしもし、どうした?』
「おー、相棒!今堂島さん家で皆で居んだ。どうしたって訳じゃねーんだけど、お前の短冊届いたから連絡」
『あれね。七夕用の短冊なんて送られてきたときはちょっとびっくりしたけど』
「最近仕事多くなってきたっつーから、忙しそうだけどりせにも送っといた。今皆で飾り付けやってる」
『あ、女子と完二が居るからお前は暇なんだな?』
「うっせ。お前戻ってくんの待って8月にやるつもりだったんだけどな!」
『ジュネスで余った笹持ってきてくれたんだろ?菜々子の手紙に書いてあったよ、何かと何時も悪いな』
「いいっていいって。菜々子ちゃん喜んでくれるならなんて事ねーよ……。まあ、後ろの高校生のがはしゃぎ過ぎてんのはどうなんだ……」
『なんにせよ羨ましいよ。こっちはこれから期末やって夏期講習』
「精神的に辛いよなー受験生は……」
『まあね』
「あ、そうそう。そんで、お前この3枚目の願い事はどーいう事なんだよ」
『素直な気持ちをしたためてみた』
「お前の……じゃないよな…でかい声じゃ言えないけど…料理の上達切実祈って、世界平和祈って、何で俺の受験成功願ってくれてんの?」
『期末、酷かったって聞いたから』
「誰だ………チクッたの誰だ!!」
『ニュースソースは秘匿します』
「リアル織姫彦星やってるお前らはもっと面白い事書いてくれないと盛り上がらねーだろ!!」
『本題は、そんな文句だろうと思った』
「サービス精神はよ」
『え、だって俺だったら?直斗……と、あと菜々子のお願いは何でも聞いてやりたいけど他まで…?』
「あ、そうね、尤もね。お前弄ろうとした俺が悪かったよ……あ、菜々子ちゃん手、空いた?今お兄ちゃんと電話してっけど代ろうか?……って、事でちょっと代わるな」
「ただいまクマ―!」
「ただ今戻りました。これ、折り紙の追加とあとアイスと飲み物も買ってきましたよ」
「悪いな、お疲れさん」
「ナナチャン、センセイと電話クマー?」
「あ……っちょ、クマ!という訳なんだけど、お前まで回りそうにないな」
「ふふ、構いませんよ菜々子ちゃんあんなに嬉しそうですしね。そういえば、短冊は届きましたか?昨日には投函するって仰ってましたけど」
「あー余計な御世話だってことね。シツレイシマシタね、さっき届いたからソレで掛けたんだ」
「え、あー…僕も幼稚園以来くらいで……3枚も何書くかちょっと悩みましたし相談ついでに」
「だな。この歳になるとなぁ、しかし、悩んだ割には割と無難なこと書いてたなお前」
「そもそも、日本だと裁縫だとか習字の上達祈願のお祭りですからどうしたものかと考えてたんですが」
「や、そんな硬く考えなくても」
「ええ、だから一昨日先輩と話してたんです。どうせ皆さんに見られる事前提ですし、本当の神頼みか、もしくは無難な努力目標みたいなものでいいかなと」
「やめようぜ、そういう戦略……ここは笑いあうとこだろ?あいつの入れ知恵碌でもないな」
「え、だって。他人の恋路をなんとかとも言いますし、他人の面倒なんてそんな余裕……というか誰がこの願い叶えてくれるんでしょう?」
「お前ら、似た様な事言いやがって」
「はい?そもそも、七夕の短冊に書いた願いが叶った。って話聞いた事あんまり無いと先輩も仰ってましたし」
「お前は、イベント乗っかりの神頼み的なノリってキャラじゃねーしな……あれ」
「我ながら硬いなとは思いますが、そう簡単に性格代わりませんし。―――どうしました?」
「え、あいつの中で俺の受験ってそんな神頼み系なの?」